第四章十三話

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「零、これが最後の勧誘だ。――お前も私の元に来い。来れば、娘となった十羽乃姫希とともにいることを許すぞ」 「……それはもう姫希じゃない。僕が好きになった十羽乃姫希とは別の人間だ。……それに、アンタのからくりは見破った」 「ほう」 「アンタは別に時間を加速して動いているわけではない。四式は『時を加速する』と言っていたが、それは実のところ違う。  通常の人間を凌駕する速さで動くのもそうだが、その正体は別にある」    零は自らの頭を指差す。 「〝ザ・ゴッド〟とはつまる所、脳の一部を一定時間麻痺させる能力。特定人物の姿を認識させないように働きかけ、遅らせる力だ」    蒼時は面白い観劇を見たように、背をのけ反らせて嗤う。 「ああ、そうだ。正解だよ、零。だがその正体を知った所でお前に何が出来る? 〝ザ・ゴッド〟を使わなくとも、私の速度にお前はついてこれまい。  既に死に体の貴様に一体何が出来るというのだ!」    理事長が消失する。
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