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と、同時に零は駆けた。祭壇へと続く階段へと。
「なっ――!?」
零の予想外の行動に、現出した理事長が驚く。
当然自分に立ち向かってくると思っていた零が、姫希への元へと駆けつける事は彼の範疇から外れていたようだ。
『三十六計逃げるにしかず』という言葉があるように、理事長を倒す事は目的ではない。
本当の目的は十羽乃姫希を救出し、疑似魔法装置を破壊することにある。
紅蒼時を倒すのはあくまで不随する問題だ。
「見損なったぞ、零! この場に及んでそんな下策をとろうとは!!」
何とでも言ってほしい。
僕は貴方を倒す事が目的じゃない。
ある種の高揚感を持って、零は階段を駆け上がる。
そして目的地である祭壇につくと、当然のように理事長が待ち構えていた。
「くそっ……やっぱり駄目か」
「当然だ。貴様の速度に私が追いつけないはずがなかろう」
じりじりと理事長はにじり寄ってくる。
「御堂夫妻の子供とは思えない行動だ。酷い短絡な作戦だったな」
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