第十三部隊

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「ふんっ!その女がどれだけの魔力を持っていようが隊長に勝てるわけないだろう、恥を知れ」  そう言いながら二人組みの男たちが立ち上がった。男性にしては長めの黒髪をひとつに縛っており、どこか見下したような視線でクオリスとアリスを見つめる。その男性の後ろにはグレンよりも身長が高い男が無表情でたたずんでいた。 「いいか女、隊長とアルさんに迷惑をかけることはこの俺が許さん、このディオ・クルーシオが」 「待ってください」  ディオと名乗った男性が部屋から出て行こうとしたとき、今まで黙っていたクオリスが彼を止めた。道端に転がっている石ころを見るような目つきでディオはクオリスに視線を向ける。 「なんだ」 「女、なんて名前じゃないです。アリスにはアリスって名前があります。訂正してください」 「俺がどう呼ぼうがお前に関係あんのか?」  アリスは本能的にクオリスをとめようとした。いつかの記憶が彼女の脳裏を掠めたからだ。しかし、グレンによってその静止は邪魔される。 「あります」 「チっ、うぜえな」 「はいはい、すこしまて、お互いの主張がぶつかった時それは勝負のときだああああああ!!」  大きな声でそんなことを言ってのけた。全員がグレンへと視線を向ける。そんな中で、グレンの顔に浮かぶ表情をみてアルはため息をこぼした。 「クオリス、ディオ、これからお前たちに模擬戦を命じる。ディオが負けたら潔くアリスの名前呼んでやれ」 「自分が勝ったときは?」 「え、じゃあ、俺が一週間修行見てやるよ」 「おい、餓鬼さっさと表に来い叩き潰す」  目をぎらぎらと輝かせたディオは扉をけり破る勢いで外へとかけていく。その後を無表情の男性がゆっくりとした歩調で後を追った。 「ひとまず行きましょうか二人とも」  アルがどこか疲れたようにクオリスとアリスの背中を押して外へと向かった。その様子を満足そうにうなづいてみていたグレンだけがその部屋にひとり残されていた。
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