第十三部隊

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「くっ!?」  反応が遅れたディオであったが、クオリスからの一撃を大鎌で何とか防ぐ。クオリスの追撃を許さず、バックステップで距離をとった。 「何で燃えねえんだ?」 「敵はクオリスだけじゃない」  アリスの声が頭上から降り注ぐ。上を見上げると、氷の柱が存在しており、その天辺に双銃を構えたアリスの姿。  ディオの着地点へと寸分違わず放たれる氷の弾丸、大鎌で砕いて防ぐも、氷のかけらは容赦なくディオの皮膚を引き裂いていく。 「下ががら空きです」 「しまっ―――」  クオリスの声とともに振るわれたロングソード、その一撃はディオの胴を捉えた。鮮血が舞う。  追撃を加えようとするが、腹部への蹴りをくらい、宙に浮く。さらに腹部へと大鎌の柄が叩き込まれ、クオリスの体は勢いよく氷壁へと叩き付けられた。 「なかなか、やるな糞が」  クオリスによって切られた傷を指でなぞる。べっとりと付着した血に顔をしかめながら大地をけった。 「空中は的」  向かってくるディオに向け照準を合わせてトリガーを引く。 「『フレアメイル』」  ディオの全身に炎が舞い上がり、纏わりついていく。その炎は瞬く間に鎧へと変化していき、アリスの放った氷の弾丸は、ディオの体に当たった瞬間に溶けて蒸発していく。 「困る、『アイスウォール』」  アリスの周りに氷の壁が出現する。さらに、契約主をやらせないためにアリスの契約精霊である『セルシウス』がディオへと襲い掛かった。 「邪魔だ『エンチャント炎』」  ディオの大鎌に炎が集う。向かってくる『セルシウス』へと向けて大鎌を横なぎに振るう。炎を纏った斬撃が『セルシウス』を飲み込み、その後ろの氷壁で身を守るアリスさえも飲み込んだ。 「アリスっ!!」  氷の柱から落ちてくるアリスの体をなんとか受け止める。気を失っているアリスの様子に安堵した。彼女の体を近くの氷壁に寄りかからせ、着地し、クオリスの出方を伺っているディオ二視線を向ける。
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