第十三部隊

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「さ、あとはお前だけだぞ」 「はい、全力で行きます」  クオリスはお互いのダメージを目測で判断した。ディオの胴体に走る裂傷、おそらく軽いといったことはないだろう。大地を蹴り上げ、距離をつめる。 「俺の攻撃は軽くて、遅いですよ」 「は?何いってんだお前―――!?」  ロングソードを振り下ろす、一度ガードしているディオは何の疑いもなく、先ほどと同じように大鎌の柄の部分で受け止めた。その瞬間、すさまじい衝撃がディオを襲う。 「ぐっ……」  先ほどとはまるで違う、ドラゴンの足でも支えているのでは錯覚してしまう。細身のロングソードから放たれる一撃ではなかった。 「まだです」 「くそがああああ!!!」  受け止められ、すぐさま引き、流れるように横なぎに振るう。一太刀、一太刀を防ぐディオの表情には焦りと苦悶の色が見て取れた。 「『炎鬼』『闇鬼』!!」  早口に魔法名を口にするディオ。炎でできた鬼と黒が集まりできた鬼がクオリスへと迫る。二体からの波状攻撃を防ぎ、避けながら、後ろへと後退していく。 (おかしい、さっきやつの攻撃を受けたとき、あれほどの重みはなかった。物理的な重みではない、もしそうならあれほど軽々とあのロングソードを振るえるわけがない)  ディオは息を整えながらクオリスへと視線を走らせる。そのクオリスは隙を埋めるように攻撃を繰り出してくる二体の鬼に手を焼いているようだ。 (あのロングソードの能力?いや、あれは普通のロングソードだ、特別な力なんて持っているわけがない。先ほど打ち合ったときと違うこと……)  脳裏を掠めるのはクオリスの放った意味不明な言葉。 「……魔法か」  ひとつの可能性へと行き着いたディオ、それを見極めるために自身も大鎌を振りかぶりクオリスへと一撃を放つ。 「『エンチェント闇』」  飛ばされた斬撃、二体の鬼はそれをわかっているため、直前までクオリスの視界を塞ぎ、斬撃ギリギリでその体を魔力へと黙散させる。
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