第十三部隊

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「くっ……」  苦悶の表情を浮かべるクオリス、ディオによって放たれた闇の斬撃をロングソードで防ぐ。が、闇がじわじわと刀身を侵食していく。黒く染まっていくロングソードを見ながら、額に汗を滲ませ、クオリスがつぶやいた。 「ロングソードが侵食される」  文字通りの現象を口にした。その瞬間、ロングソードを侵食していた黒がピタリと止まる。それを見たディオは確信した。 「なるほどな、それがお前の魔法か、しかし、よくわからない精霊と契約してるんだな」  表情からは焦りが読み取れ、ディオに魔法がばれたと悟るクオリス。 「お前の魔法、お前が言ったことと反対のことが起きるんだな」 「何のことですか、ね!!」  斬撃を跳ね除け、距離を埋める、ディオ自身もクオリスに向けて大地を蹴った。衝突する大鎌とロングソード。鉄と鉄がぶつかり合い、火花を散らす。 「俺―――」 「あめえ」  クオリスが口を開いたとき、出てきたのは言葉ではなく、腹部に受けた衝撃によりひねり出された空気。クオリスの言葉を無理やりにかき消し、さらに追撃を叩き込んでいく。 「おまえに口は開かせない」  流れるように拳と大鎌を叩き込んでいく。空中に打ち上げ、その胴を自身がやられたように切り裂いた。鮮血が舞う。大鎌の刃に付着した血を払うのと同時にクオリスの体は地面へと吸い込まれるように衝突した。 「ここまでだな」  静かに三人の戦闘を見ていたグレンはそうつぶやいた。そのつぶやきを隣で聞いていたアルは、同じく静観していたクレイを伴い気絶した二人とディオを近づけさせる。 「彼の者の傷を癒せ」  アルを中心に暖かな光を放つ緑色の魔方陣が展開される。その魔方陣の上に寝かされた二人の傷は瞬く間に癒え、同じく立たされていたディオの傷をも一瞬で癒した。  治癒の精霊、アルはその希少な精霊と契約を交わしていた。治癒の精霊は数がかなり少ない、そのため名前つきといった強力な固体は存在しないが、おのおのの能力はかなりのものを持っているのだ。
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