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二つの銀が激しい衝突音を奏でた。天井に設置してある『光源石』の光を反射しながら、何度もぶつかり合う。何度目かの衝突の後、お互いの動きが止まった。
「さすがは勇者だな」
ロングソードを構えたまま金色の髪の少年は言った。程よく鍛え上げられた体から繰り出される一撃は勇者と呼ばれた白髪の少年の胴へと吸い込まれるように振るわれる。
「ありがたいな!」
白髪の少年はその一撃を危なげなく防ぐと、そのまま頭上へと跳ね上げた。勢いでがら空きになる二人、無理やりに作り上げた相手の隙、逃がすまいとその胴体へと蹴りを放つ。しかし、その一撃は金髪の少年に阻まれた。
「これも防ぐか」
「もちろん」
交差した一瞬、二人は言葉を交わす。お互いに笑みを浮かべながら距離をとった。
「よくやるなぁ」
そんな二人を眠たげな瞳で見る少女。口元にはキャンディの棒が銜えられている。空を連想させる水色の頭髪、それを二つのお下げにし、指に巻きつけて遊んでいた。
「いくぞおおおおお!!」
「こおおおおいっ!!」
二人の少年は銀の剣をお互いに構え、すさまじい速さで相手へと突撃していく。何度も響く鉄と鉄のぶつかり合う音は、音楽のように響き渡る。一度振るごとにその剣戟の激しさはいっそう増していく。
二人は増え続ける傷なんて意にも返さず、夢中で自身の手の中にある剣に思いを込め、何度も何度も振るった。
「はああああああっ!!!」
「おおおおおおおっ!!」
二人は気合の一撃をお互いにぶつけ合う。あまりの威力にぶつかり合った瞬間、お互いの剣は粉々に砕け散っていた。砕け散ったもののお互いの技の威力はそのままうけ、それぞれが反対方向へと吹き飛ばされ、壁に激突していた。
「大丈夫?二人とも」
舞い散る砂煙に向かって少女は二人の安否を確認する。しかし、その声音は心配すると言うよりも、一応確認しておくかとでも言いたげな聞き方だった。
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