第十三部隊

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 クオリス・クォーツは夢を見ていた。夢だと断言できた。その光景はいつかの幼いころ。まだ、アリスと出会って間もないころ、当時は四人で行動していた。 『よわいなクオリス』 『あにきがつよすぎるんだよー』 『あにきじゃない、おにいちゃんだ』  金髪の二人の少年は木刀をぶつけ合いながらそんな言葉を交わす。少しはなれたところで水色の髪の少年と少女がその喧嘩を見ていた。 『クオリスくんと―――はなかわるいの?』 『―――はツンデレなんだよ』 『つんでれ?』 『素直になれないひとのことさ』 『すなおがいちばんなのにね』 『そうだねアリス、素直なアリスにはキャンディをあげるよ』 『わーい!ありがとう!―――』  幼いアリスは、隣に立つ少年からキャンディを受け取り、口に銜える。うれしそうにキャンディを転がしながら、隣の少年の手をつかんでいた。 『―――?』  しかし、アリスがつかんでいた手は唐突に消える。まるで最初からいなかったように、アリスは泣きながらその人物を探している。それを見ることしかできないクオリス。  目の前の自分に似た少年は自分がアリスのもとへと駆け寄ることを許してくれない。  壁として立ちはだかるその人物に泣きながら木刀を振るう 『何で!あんたの友達だったんだろ!?何とか言えよ!くそ兄貴!!』 『くそ兄貴じゃない、お兄ちゃんだ。いいかクオリス、弱いやつに文句を言う資格なんてない』  少年はそれを告げると、姿が消えた。残されたのは泣きながら探すアリスと、何もできない弱かったクオリス。 ―――――――――― 「おきて」 「ぐふうう!?」  突然の衝撃がクオリスの腹部を襲った。激痛が駆け回り、無理やりに意識が覚醒させられる。 「アリス」 「おはよう」  いつもの眠たげな目で、口に銜えたキャンディを転がしている。彼女の肩には、見覚えのある白い猫。
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