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「遅い」
リビングには第十三部隊隊員がである四人がそろっていた。いつも食事をしているそのテーブルにつき、いつもグレンが座っている席に一人の女性がテーブルに足を乗せて座っている。
「ノエルじゃん、なにしてんの?」
「ノエルさん?」
ノエルと呼ばれた女性は不機嫌そうに二人を見た。何故かおびえた様子でアリスとディオがクオリスに合掌している。
「ノエル・バーライト様と呼べクソガキ」
「ふぐっ!?」
一瞬でクオリスを支えるグレンの後ろに立ち、クオリス目掛け上段のけりを放つ。それは吸い込まれるようにクオリスの後頭部を捉え、強烈な衝撃がクオリスの後頭部を襲った。
「くそグレン、任務だ」
「任務?うちに?珍しいな、てかお前、口悪いな」
「うるせえ、しっかり渡したからな」
ノエルはグレンに数枚の資料を手渡すと、次の瞬間にはその姿は消えていた。紫のポニーテールがクオリスの視界から消える。
「ふうう、緊張した」
新しいキャンディを口に銜えながらアリスはため息をこぼした。いつもの眠たげな瞳からは、そういったものは感じ取れず、困惑してしまう。
「さすが竜騎士の一人、何の魔法かもわからなかった。」
「何で俺こんなひどい目にあってるんですかねぇ……」
ディオも緊張していたのか、先ほどのような張り詰めていた雰囲気が一切なくなり、テーブルに突っ伏していた。
「おつかれさまです」
その隣でクレイはいつもの無表情で主人であるディオに紅茶を差し出す。それにディオが口をつけたのを確認すると、アリスやアルにも紅茶を差し出した。
「ありがとう、クレイ君」
アルはいつもと変わりなくニコニコと微笑を浮かべている。
「クレイ、俺には」
「今ので紅茶が切れました、クオリスコーヒー飲むか?」
「あ、いただきます」
「おい」
差し出されたコーヒーを口に運びながら、先ほどの嵐のような女性が残していった数枚の資料を盗み見る。グレンはそんなことにも気づくことなく、クレイからコーヒーを奪おうと躍起になっていた。
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