金色の救世主(??)

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ここはどこなんだ…?? さっきから同じとこをぐるぐると回っている気がする。 いや、この3年1組と書かれた教室の前をさっきも通ったから、確実に同じとこを回っている。 時計の針は8時40分を指していた。 「始業式から遅刻って…やっちゃったなー」 始業式があるため職員室には誰もいない。 初めて入るこの学校で、始業式が行われる体育館への行き方が分からないなんていうイベントに巻き込まれるとは思ってもいなかった。 そんなもう苦笑いを浮かべるしかなくなったこの状況で、ふと目の前を金色の救世主が通りかかった。 この学校の制服を着た女の子だ。 なんで金色という表現をしたのかというと、その子が高校生には似合わない鮮やかな金色の髪をしていたから。 髪型はツインテールというやつで、黒いリボンで髪を束ねていた。 一瞬、呆気にとられたが、今の自分がそれどころではない立場なことを思い出す。 「あの、すみません。ちょっといいですか??」 女の子に後ろから声をかけた。 女の子がふりかえる。 しっかりとこちらを見る黒い目が、彼女が日本人だということを伝えていた。 そして女の子からのお返事が返ってきた。 「ナンパですか?」 これが金色の狼と呼ばれるこの女の子との最初の会話だった。
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