そんな訳でやっちゃった

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「という夢を見たんだが、どう思うよ琴梨」 『はぁ?そんな下らない事で電話してきたの?』 今日見た夢の内容を延々と携帯電話越しに説明すると、義妹にバカにした様な反応をされた。現代の中学生は言葉を選びやがらない。まぁ家族だからいいけど。 学校終わりの放課後、徒歩通学の俺は後ろから追い越していった自転車組を羨ましく思いながらもポテポテ帰路を歩く。委員会に所属している心ない友人達は揃って用事があるとかで学校に残っている。俺も残ればよかった。 「まぁよいではないかよいではないか。たまにしか会えないんだしよ」 俺と琴梨……いや琴梨に限らず家族と離れて暮らしている。義父はいい人ではあるが、どうしても壁が出来てしまう。母親は新しい夫にぞっこんで、反りが合わない俺とちょっとした口論になった。 最終的には言い負かして泣かせてしまい、その時かな、家族と決定的な溝が出来てしまった。義父の提案で、お互いの整理期間として俺は一人暮らしを興じている。 『たまにしか会えないのは兄さんが帰って来ないからでしょ全くもう』 「母さんが居るから嫌だ」 『ド直球!少しは遠回しな言い方を学びなさい』 「気まずいから嫌だ」 『余り変わらなかった!』 「迂遠なやり方は好きじゃないんだよ。結局ぶっ飛ばすんなら最初の段階でぶっ飛ばせば解決だろうに」 『実際にやったら学校的に停学か退学だから止めようね』 「面倒くせぇなあ」 『そういう世の中だからね』 「ん?何その自分、世の中分かってますから発言」 『女の子には協調性が強要されるの。根に持たれるとうざいし』 お前の方が直球じゃないか、という言葉が出掛かったがギリギリの所で飲み込む。多分今のは愚痴というものだ。余計な事は言わず相槌を打つのが吉と出た。何から出たのかは謎。 曲がり角を出て、十字路に差し掛かる。中途半端になっちゃっから仕方なく設置しました感バリバリな位置に小さな公園がある。十字路の角っちょに子供が使うであろう公園とは危なくないかと思いもしたが、全く使われていない寂れた公園らしく子供は居ない。少なくとも今日までまだ見ていない。 ポン、ポン、ポッポンポンポポポと何かが跳ねている音が聞こえてくる。これはあれだな、ボールが足に当たって転がっていった音だな。経験があるから分かる。 そして何やらトラックのエンジン音が都合の良いのか悪いのかのタイミングで響いてきた。
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