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「そんな訳で貴方は死んだのよ」
「軽いなおい」
鮮やかな朱色の短くも柔らかそうな髪を揺らし、妖艶な笑みを浮かべクスクス笑う童顔の少女。
気が付いたら見慣れた俺の部屋に居て、ベッドに寝転がり枕の臭いを嗅いで恍惚に浸っていた少女を見付けてからここが現世ではないと言われた。
今も枕を胸に抱き、俺の胸に体を預けて毛布に包まれている。なんだか知らん内に思いっきりなつかれていた。ヤンデレの類いは死因的な意味でトラウマだから遠慮したい。
「っで、お前は何者?生き物なの生物なの?」
「神者よ。嗚呼、幸せ過ぎて力が抜ける」
そう言い、何やら熱っぽい吐息を吐く。顔を紅潮させ、なんだ、その、色っぽい。
「もぞもぞすんな。なんでこんななついてんだよ」
「あら?心外ね。……うーん、分かりやすく言うのなら貴方が助けた小さな女の子と私は同一人物なの」
「まさかの!?」
「一目惚れってやつね。胸キュンね」
「何が!?」
「私は貴方が好きです」
「エキサイト翻訳!?そして唐突な告白に俺はどうすればいいの!?」
「受け入れてぐうちゃぐちゃのでろんでろーんになりましょう」
「えっちぃ事には高校を卒業してから手を出しましょう!!」
ぜぇ、ぜぇ、っと荒くなった呼吸を必死で整える。なんなんだこいつ。あ、神か。あれ?でも小さな女の子と同一人物……うん?
「お前って姿変えられるのか?」
「質量が変わらない程度なら。犬でも猫でも男の娘にもなれるけど、貴方が二刀流だった場合に備えて男の娘版も用意したのよ?さぁ、欲望をぶつけて頂戴な」
残念系美少女の妄言をスルーして気になる事を聞いていく。
「なんで俺はここに居るんだ?死んだ筈だろ」
「簡単な話よ。神としての位が上がりある程度の自由を獲得した私が貴方の魂を召喚した。私の望む形で、ね」
アカン、こいつはヤンデレだ。神が何を出来るのかは知らんが厄介な奴に惚れられてしまった。意に沿わなかったら地獄よりも酷い目に遭うタイプだ俺が。ってあれ?
「質量が変わらない程度に姿を変えられるって言ったよな?なら、その姿は……」
どっからどうみても幼女じゃない。
「あら、言ってなかったわね」
度忘れした事を思い出したような口振りで、少女はあっさりとこう言った。
「貴方が死んでから800年程時は進んでいるの」
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