第1章

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「もしもしー。こうちゃんお帰りー。」 自分に彼氏ができるなんて思ってもみなかったが、ここ最近は幸せな日々が続いている。再会した幼馴染と付き合うなんて、ドラマか漫画みたいだ。 こうちゃんとは小学生の時に付き合っていた。私は大人の真似事をするのが好きな生意気な子供だったから、その時にキスをしたこともあった。まぁそれ以外は、ほとんど親友という状態に近かったのだけど。 中学が別々になるのをきっかけに私達は別れ、私の中のこうちゃんの記憶はどんどんと薄れていった。 だから同窓会でこうちゃんと再会した時、最初は誰だか分からなかった。 こんなに・・・かっこよかったっけ? 10年も前の記憶はあまりにも不鮮明で、昔のこうちゃんの姿をはっきりと思い出すことはできなかった。だが成長した彼は、こうちゃんと呼ぶのが申し訳なくなるくらい綺麗な顔立ちをしていた。 私達は思い出話に花を咲かせ、帰り際に連絡先を交換した。 私は不覚にも、こうちゃんにもう一度恋をしてしまっていた。 それからというもの、こうちゃんが私の目の前にいることが多くなった。まぁ当たり前か。私がこうちゃんの後ろにいるんだから。 こうちゃんが家に帰ったのを見届けてから電話をかける。ここ最近の日課だ。 彼の部屋から漏れる明かりを見つめながら、一方的に話し続ける。 「・・・ふふ、今日もいっぱい話しちゃった。 たまには電話に出てほしいなー。 あ、もうそろそろ切らなきゃ。じゃあねー。 また明日。」
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