祟り道

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これは私が正月に体験した話です。その日、私は車を運転して親戚の家に向かっていた。まだ、免許を取り立ての初心者ということもあって不安もあったけど、親戚の集まりには顔を出さなければ失礼で、少し予定が押していることもあって私は車のアクセルを踏み込んだ。 ルームミラー越しに自分の顔を何度も確認する。ルックスにはあまり自信のない私だけれど、親戚の集まりにはなるべくならいい格好をしていきたいし、同い年の幼なじみと会えることもあって私は念入りにおめかしをして出かけた。幼なじみとは小学生からのつきあいで、私はずっと片思いをしているけれど、いまだに勇気がもてない。お正月だし、二十歳になった、お酒だって呑めるのだから雰囲気に任せて告白してみようと出来もしない覚悟を心の隅っこに止めてていたんだ。 運転をしながら視界の隅っこにユラユラと揺れる交通安全の御守りを見て、ほんの少しほほがゆるむ。幼なじみからの贈り物というだけでいそいそと車内に飾る私の幼稚さには呆れるばかりだ。こんなのは特別な行為でもなんでもないこととわかっていても期待してしまうのはいけないことなのかどうかと思う。クリスマスやお正月、バレンタインなど年間のイベントを過ごすことは多いけれど、そこから先に進めたことはない。 ただの幼なじみだからか、それとも彼にとって私は女友達で、恋愛対象には入っていないのかも…… と考えてしまうとよけいに不安なってくる。幼なじみに恋をしてるイタイ女が妄想を膨らませて自爆彼に彼女ができた途端に我が物顔でしゃしゃり出る自己中な、空気の読めない迷惑な女。 「やめよ。なんで正月なのにこんな暗い気持ちにならなければならないのよ」 自分で自分にツッコミを入れる。友人からも私は考え過ぎとよく怒られることがある。一人で抱え込んでしまい、知らず知らずのうちにストレスをため込んで学生時代は自傷行為に及んだこともある。その証拠に私の身体には目立たないけれど、切り傷がの痕がくっきりと残っていて。バカなことをしたと後悔しても、あのころの私はかなりに追い詰められていた。親とのうまくいかない関係や、学校での立場などぶつけどころのないイライラがそこにあったんだ。今になってみれば、あんなこともあったと思い返して笑えるんだから不思議だ。 人は年をとれば角がとれて丸くなるとはこのことかもしれない。なんて思い出にひたりながら気分転換に
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