祟り道

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後日、改めて事情を聞かれることになり、そのまま家に帰ろうかとも思ったけれど、遅刻したまますっぽかすことも出来ずに私は親戚の家にむけて車を走らせた。その間は何事もなく到着すると、親戚の家から幼なじみが血相かえて飛び出してきた。 遅刻してきたことを怒っているよつではないようだけれど、早口で何を言っているかわからない、だんだん彼も落ち着いてきたのか、やっと理解できた。 「なんか、こうさ、わかんないんだけれど、いきなりフッと意識が遠くなったと思ったらお前を見下ろしてたわけ、で、なんか変な女が車に張り付いてるし、お前はボロボロ泣いて叫んでるから、ああ、やばい、これは止めなくちゃって思いっきり叫んでた」らしい。それも私を思いっきり抱きしめながら言うのだから正直、あたふたしてしまう。下世話な親戚連中が私達に野次を飛ばす。 あの時の止まれって叫び声は幼なじみだったんだ。それにあの御守りも、そこで緊張の糸がプツリと切れて、私は幼なじみの腕の中でみっともなく泣き崩れた。怖かった。とても怖かった。幼なじみもよかった、よかったと頭を撫でてくれた。 後日、幼なじみが運転する車で警察署まで向かい、改めて事情を話した。私の乗っていた車は赤い手形もそうだけれど、エンジンが故障したため動かないと昨日の警察官に言うと深く頷くと、 「もう、それは乗らないほうがいい、祟り道を通った車はよくない者を引き寄せから、あと交通安全の御守りは近所のお寺なんかに持っていくと供養してくれるよ」 とのことだった。幼なじみが祟りとは何かと聞いた。 「祟りってのは自然現象と同じさ、相手を選ばない、きっかけさえあれば誰だって引き込む。お姉さんが見たっていう下半身のない女もその本体か、もしくは巻き込まれて被害者だろうね。でも、そういうのは祓ったり、取り除いたりはできないんだ。見て見ぬ振りをするしかない。嵐が過ぎ去るのを待つようににね。お姉さんも不安やろうけれど、気にしたダメよ」 とだけ言うと幼なじみの肩をポンポンと叩いていった。結局、あれがなんだったのか私にはわからない。あれからそういった体験はしていないけれど、もう一人で車の運転はできそうになかった。
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