第1章

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「あの、赤下夢霧さん…ですよね?」  朝の散歩に出かけようとして足を進めていた赤下夢霧は、いきなり話しかけられて驚いき、足を止めた。声のした方を振り向くと、中学校の制服に身を包んだ少女が立っていた。鞄を持っているところを見ると学校に行く途中なのだろう。 「……そうだけど」  なぜ話しかけられたのかは分からなかったが、とりあえず夢霧は肯定の言葉を言った。すると、少女は夢霧に向かって、 「解いてほしい事件があるんです。」  と告げた。  夢霧はその言葉を聞いて驚きの表情を隠せずにぽかんとした顔で、ただ目の前の少女を見つめていた。少女はそんな夢霧を見て、人違いだったかと戸惑ったが何かを思いついたらしく、鞄を開きゴソゴソと鞄の中身を探り始めた。少女の鞄には、古い新聞の束やノートが入っているだけで、教科書や体操服といった学校に必要なものが入っていなかった。不思議に思った夢霧は少女に尋ねようとしたが、少女がお目当ての何かを見つけたらしく「あった」と呟くと夢霧につきだしたため、聞くことができなかった。  つきだされたものを見ると、ごく最近の新聞で日付は十二月二十三日になっていた。見開きには大きな太い文字で「連続殺人事件、燃える」と書かれており、何の記事なのかは夢霧が見ればすぐに分かる内容だった。 「この事件を解いた、女子高校生ってあなたですよね…?」
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