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その後、優也と香は警察署を出ていった。
無言のまま歩いていると優也が香の手を握った。
『……』
香と優也は家に着くまで互いの手を握ったまま無言で歩いた。
人気の少ない道を何時間も手を握ったまま無言で歩きやっとマンションの前に着いた優也と香は家の部屋へと入っていった。
『今日は仕事を休め、亮の顔をみたくないだろ』
優也は香を抱き締めた。
『……』
『1人にするのは心配だから…』
『大丈夫だよ、お前が帰ってくるまで起きて待ってる、ご飯の用意をして待ってる』
香は心配かけまいと優也に微笑んだ。
『じゃあ、行ってくる』
優也は出掛けていった。
香は寝室に行きベットにうつ伏せで倒れ泣いた。
ーホストクラブの店、控え室ー
他のホストたちと亮は仕事のスーツに着替えていた、そこへ長沢が現れ亮に近づいた。
『話がある、部屋に来てくれないか』
『ここで話せよ』
『いいから来い』
長沢は亮の腕を掴み管理室に連れていった。
ー管理室ー
『話って何だよ』
『お前が俺に話した計画すべてを優也に話した…優也を手に入れるために香君を悲しませることは俺にはできない…香君を愛してるなら香君が悲しむようなことはやめろ』
『もう遅いよ』
『どういう…まさかお前…』
『……』
亮はソファーに座りうつ向いた。
『香君を連れ出したあの時、彼に何かしたのか』
長沢の問いに亮はうつ向きながら口を開いた。
『無理矢理抱いた』
『……』
驚いた長沢は言葉を失った。
その時、管理室のドアが開き優也が入ってきた。
『亮…』
優也は亮に近づき亮を立たせると顔を殴った。
倒れた亮はゆっくりと体を起こし立ち上がると壁にもたれた。
『悲しませるつもりはなかった…ごめん』
『お前の顔はみたくない、仕事に来ないでくれ』
優也は管理室を出ていった。
亮は壁にもたれたまま座り込み後悔した。
『香君に許しをこいたいなら香君に会わせてやろうか』
『本当か…会わせてくれるなら、香に謝りたい』
『まかせろ』
『ありがとう』
亮は仕事を辞めた。
長沢は社長室に行き優也に香と亮を会わせてやってほしいと頼んだ。
亮のことを許せない優也は『冗談じゃない』と言って断った。
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