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しばらくして目を覚ました香は亮がいないすきに服を着て家を出ていった。
場所がわからない香は人通りがない道をふらふらしながら歩いた。
『…優也…』
涙を流しながら歩く香の後ろから声がした。
『君、ちょっといいかな』
『え?』
立ち止まり振り返った香は目の前に立っている警察官に泣きながら抱きついた。
『何かあったんですか?』
警察官は泣きじゃくる香を優しく抱き締め背中をさすった。
『……』
『暖かい飲み物でも飲みましょうか』
警察官は香を署に連れていった。
その頃、優也は長沢から亮の企みをすべて聞き驚いていた。
『お前を手に入れるために亮の企みにのったが俺にはできないよ、お前と香君を引き離すなんて…だってお前の悲しむ顔なんて見たくないから』
長沢は亮の家の地図が書かれた紙を優也に渡した。
『これは?』
『亮の家の場所だ』
『長沢…』
『一度だけ良いか…キス…』
『……』
優也は黙って長沢の唇にキスをしその場を去った。
長沢は唇に手をあて一言『さようなら優也』と言って涙を流した。
優也は息を切らしながらも亮の家へと走った。
『香』
紙を握りしめながら優也は走った。
そして2時間後、優也は亮の家の前に着き気持ちを整えるとインターホンを鳴らした。
ドアが開きバスローブ姿の亮が出てきた。
『社長!何でここに』
『香はどこだ、いるんだろ』
家の中に入ると名前を呼びながら香を探した。
『いませんよ、俺がシャワーを浴びて出てきたら寝室に居なかった』
『香に何かあったらお前を許さないからな』
優也は家を出ていった。
署に香を連れてきた警察官は待合室に行った。
『椅子に座って』
香を椅子に座らせると警察官は飲み物を買いに行った。
『……』
泣きつかれた香は椅子から立ち上がり壁にもたれながら座り込むと目を閉じ眠った。
『飲み物…』
壁にもたれながら眠っている香の姿を見て警察官は待合室を出ていった。
次の日の朝7時、目を覚ました香は立ち上がりドアの方に歩いた。
その時、ドアが開き警察官が現れた。
『おはようございます』
事情を聞くため警察官は香を椅子に座らせた。
『何で泣きながら歩いていたのか教えてくれるかな』
『……』
香は黙ったままうつ向いた。
それからしばらくして香は顔をあげ口を開いた。
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