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ざわざわと静かにうごめく音が、
店内のそれなのか
自分の中から聴こえてくるのか、
判らなかった。
「どうして……?」
身体の中をぐるぐると駆け巡る、
言葉にならない言葉を
一生懸命捕まえて、
口から出したら
それはささやかな疑問だった。
「……志緒が、
兄さんと再会したって聞いたから──かな」
「……」
「昔も、志緒と兄さんは
気付いたら付き合ってて。
……悔しかったんだ。すごく」
「でも、もう終わったことだよ……」
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