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身体の中を巡る混乱が、
頭まで昇ってくる。
目の前でカフェミストが
どんどん冷めていくのが判るのに、
もう手を伸ばす気になれなかった。
しばらく黙っていた誠司は、
ふっと諦めたように笑い落とす。
「終わったこと?
……そんなわけないよ。兄さんだよ」
「でも、いなくなったんだよ。
あの人。ある日突然、勝手に」
「何にも判ってないよ、志緒は」
誠司は反対隣の椅子に置いていた
ダウンを羽織り、立ち上がる。
「誠司……?」
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