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ちゅ、と軽く掠めて──
TAKUMIはそのままあたしの口唇を
包み込むようにゆっくりと食み、
何をしているのか判らせるかのように、
更にゆっくりと下唇を吸ってくる。
「……ふ」
鼻先で、彼が低く笑った。
咄嗟に閉じてしまっていた目を開けると、
TAKUMIの無機質なアイスグレーが
真っすぐにあたしを射抜いている。
ビクッと反応すると、
手首を掴んでいるTAKUMIの手が
するすると上がってきて──
手を握られた。
「……ッ」
また。
まただ。
……また、心臓が痛いほど揺れた。
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