第7話 御手洗家の秘密

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 僕はヒカリと一緒に目の前の茶色のドアを開けた。中は黴臭い部屋になっていて、消えかけの電球がパチパチと音を立てていた。 「な、何だよこれ・・・・」  僕は壁一面に張られている、新聞の切り抜きや写真を見て、思わず鳥肌が立った。新聞も写真も大分昔に張られた物らしく、端の方が黄ばんでいたが、そこに写っている衝撃的な画像は、今も色褪せることはない。 「ひいい」  ヒカリも思わず口に手を当てて、言葉を失っていた。新聞には幼い少女が映っており、顔を見たところ、ヨーロッパ人とのハーフに見えた。まるでフランス人形のような美少女に、一瞬ドキッとしてしまうが、写真には全く別のことが書かれていた。 「来日した美少女メザリーちゃん、変貌」  記事にはそうタイトルが付けられていた。 「メザリーちゃんは、父が日本人で母がアメリカ人のハーフである。6歳までアメリカのシカゴで暮らしていたが、去年からは日本に移り住み、今は夕闇町で家族三人水入らずで暮らしているらしい。彼女の様子がおかしくなったのは、来日してから約半年後のことだった。ある日、黒ずくめの人が自分の部屋に出入りしていると、メザリーちゃんは両親に相談していた。しかし、それらしい人物は全く現れない。精神科に診せたが異常はなし。しかし、日に日に食欲を失っていく彼女の姿は、病人のそれであり、入院が必要だと、両親は悩んでいた」  僕は記事の続きを見ようと、新聞を一枚捲った。 「う、うああああ」  僕は思わず大声を上げると、その場で尻もちを突いて。新聞を床にぶちまけてしまった。同時に背後にいたヒカリも、驚いて、バランスを崩した。 「ちょっと、脅かさないでよ」 「うああ・・・・」  
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