第7話 御手洗家の秘密

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 僕は心臓発作で死ぬかと思った。次の記事に写っていたメザリーちゃんの写真は、最初に見たフランス人形のような美しさは欠片もなく、痩せこけて骨が浮き出た皮だけの、例えるならば猿の干物のような、醜いものだった。 「何だよこれ・・・・」  手足がマッチ棒のように細いメザリーちゃんは、両親から肩を借りて、立っているのがやっというような状態だった。瞳には光がなく、一点を見続けている。まるで、見てはいけないものを見たような、そんな顔に見えた。そして、彼女の名字を見た時に、僕はさらに戦慄することとなる。 「ミザリー・御手洗だって・・・・」  彼女はこの館の者だった。日記を書いていた老人の娘か孫か、いずれにせよ、御手洗家の人間であることは理解できた。そして記事の後半にはさらに、興味深い、僕達にとっては恐ろしい事実が淡々と記されていたのだ。 「代々、御手洗家の人間は及び、それに連なる者達は、黒い人影に悩まされていたという。一族では代々、これを悪魔憑きと呼んでおり、炎により肉体を清めることで、自分に憑り付く、黒い人影の支配から脱却していた。しかし、近年になって、これが無意味であることが発覚した。要するに、悪魔憑きと炎による儀式との間に因果関係はないのである」  僕は新聞から眼を離すと、今度は机の上に置かれている日記帳を開いた。
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