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「…ねぇ、暁人さん?」
「なっ、なに?」
「暁人さんは、僕が好きなの?だから、あのとき僕にちゅー…したの…?」
不安げに眉を落とし、青い瞳を揺らがすあゆむ君。
…その、寂しげな表情を見て、「ダメだ。」って…思った。
中途半端に誤魔化しちゃ、ダメだって。
あゆむ君のためにも、俺自身のためにも…。
…そう思って、あゆむ君の瞳を見つめていたときにはもう…、俺の唇は無意識のうちに言葉をこぼしていた。
「…うん、そうだよ。」
「ほん、と…?」
「うん、ほんとだよ。男同士、とか…あゆむ君にとって未知な領域かもしれないけど…。」
「…ううん。そんなこと、ない。」
ふるふる、若干俯き気味なまま…震える声であゆむ君は呟いた。
あー…、やっぱ…言わなきゃ、よかったかなぁ…。
年下に…しかも7つも離れた、小学生に気遣わせるとか…最低だろ、俺…。
どちらにしても、結局あゆむ君のこと…傷つけてんじゃん。
…あゆむ君は、純粋に俺のこと慕ってくれてたのに。
俺はそんなあゆむ君のことを…「そういう風」に見てた。
いまさら後悔しても、遅いけど…さ。
「…あゆむ君。」
俯いたまま動かないあゆむ君を心配に思い、優しい声色で声をかける。
それでも、俯いたままのあゆむ君。
「あゆむ君…?」
さすがに心配や焦り、後悔などゴチャゴチャした感情が溢れてきて…、そっとあゆむ君の肩に手を置いた。
…すると、小刻みにだが、その肩は震えていた。
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