200人が本棚に入れています
本棚に追加
「部長、1課の神谷さんからお電話です」
内線で彼女が電話を繋いでくれた。
「ありがとう」
電話で受けながら、彼女をチラリと見ただけなのに、戸惑ったように目を泳がせた。
「お疲れさん」
「あ、夏輝?山下からメールがいくと思うけど、坂本さんのFeel meがまた始まるらしいよ」
「あぁ、ちょうど届いたよ」
「それとさ、夏輝、社内恋愛でもしたくなったのか?」
「優、なに言ってんだよ!」
有り得ない。俺が社内恋愛なんて……有り得ないんだ。
どの女も、俺に取る態度は同じ。
場の空気なんか無視して騒ぐ。噂話が1人歩きする。
勝手に失恋してたり、告白されて断ったら悪口言われたりするんだ。
ひねくれてるだとか、調子に乗ってるだとか。
「いや、高梨さんのこと気に入ってるみたいだから」
「イジり甲斐があるだけで、別にそういうんじゃないよ」
相手が誰だろうと同じだ。社内に彼女は作らない。
本気の恋なんて、しなくても生きていけるだろ。
最初のコメントを投稿しよう!