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「お待たせしました……」
お泊まりセットと明日着る服、一応仕事ができるように支度を済ませて、小さめのボストンバッグを持って出た。
「本当に15分だ」
くすくすと笑いながら、部長が少し倒していた車のシートを戻した。ウィンドウから微かに漏れ聞こえる音楽までが、部長らしくて洒落ている。
「ほら、早く乗って」
伸ばした腕で、内側から助手席のドアを開けてくれる。
本当に、いいのかな。1度決めた意志は簡単に揺らいでしまうほど脆い。
「彩星、乗って。そろそろ出ないと間に合わないから」
部長が車から降りて、私が乗れるようにドアを大きく開けてくれた。
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