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「……ねぇ、俺に惚れた?」
「い、いいえ。そんなことはないです」
目をそらした彼女が、俺の胸を押し返して離れた。
……じゃあ、どうしてそんな反応ばかりするんだよ。
もっと困ってよ。もっと戸惑って、俺で埋め尽くされてよ。
「彩星」
甘く囁いて隣に立つだけで、耳まで赤く染まりそうな彼女を見て思い出したのは、今朝の約束。
そして、それをなかった事にしようとしているのか分からないけれど、また彼女は分かりやすい嘘をついた。
……だから。
俺は彼女の手を引いて、抱きしめた。
そうしないと、俺が保てなくなりそうだったから。
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