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あの時、テラスで抱き寄せてから、俺の毎日が大きく変わった。
温泉に浸かりながら、この1ヶ月の間に起こったことを思い出す。
社内恋愛なんて、絶対する気ない。今は、仕事が彼女みたいなものだから、特定の女の存在は邪魔なだけ。
言い寄ってくる遊びの恋愛が分かっていそうな女と、後腐れのないセックスをして楽しめたらいい。一時の快楽ほど楽なものはない。
そう思っていたのに、今、彼女と温泉に来ている。
言い寄ってきたわけでもない、新人の部下を自ら誘って。
彼女が見せる表情や反応に、一々戸惑っていたのは、俺の方だったのかもしれない。
答えは、思いの外シンプルだった。
彼女が帰ると言っても帰れないところに閉じ込めたくて。
彼女の色々な表情を1人占めしたい。
――彩星が好きだから。
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