夢屋敷

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テレポート、時間跳躍、そんな超状現象を誰でも一度は経験したいと願うものではないだろうか。 少なくとも、俺はこの十年の間、その願いを持ち続けている。 辰巳(たつみ)まこと。27歳。 朝は近所の神社の手伝い。 夕方から夜にかけてコンビニの店員。 バリバリの崖っぷちフリーターだ。 毎日五時に起床し、シャワーを浴び、神社へ走り、神社に奉られている神様に挨拶しに行き、8時まで境内を掃除。 隅々まで境内を綺麗にしたあと、神殿の奉納蔵(ほうのうこ)に山葡萄(やまぶどう)を一房(ひとふさ)奉納する。 まあ、これが正式の神主のやり方なのかは、階位(かいい)を持っていない俺に分かるはずがないのだけれども、神主自身がそれでいいというのなら良いのだろう。 これをもう十年繰り返している。
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