第1章

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 「呑太郎が相手だとペースに飲まれるけど、君が相手なら僕は無敵さ」  このジゴロが。  次五朗は看板娘をお姫様だっこしたまま、優雅に回転しながら看板娘の脚で予約客に蹴りを繰り出した。 次五朗の真骨頂は看板娘と組んだ時のダンスを模した格闘術にある。 看板娘がいない時はゲスト女優と組む時もあるが。  「次五朗様、優しく回して下さいおぱんつが……」  「レディ。おぱんつ発言は控えた方が宜しいですよ」  おぱんつ野郎にだけは言われたくない台詞だ。 だが、いちいち格好よく決まるので文句は言えないが。  「くっ、キックがうざいな。野郎共。やってしまえ!」  「イー!」  「イー!」  「イー!」  予約客は、沢山のお連れさんを店に呼び寄せた。  「大勢のご来店。誠に有り難う御座います。お敵様数名フルボッコのフルコースでおもてなし致します」  次五朗は看板娘をフィギュアスケートのペアと舞うように、右に左に滑らかに回転させながら連続蹴りを食らわせる。 看板娘を奪われそうになったら頭上に持ち上げてのリフトで回避。更に股下に潜らせてのスネークで回避。または上空高く舞わせて回避。 お連れさんが次五朗を攻撃しようものなら、リズミカルなタップで幻惑しながら距離を取り、その態勢からコサックの蹴りで反撃。 と思ったらそこから、三角にステップを踏むカポエイラのジンガからの連続蹴りで360度のお連れさんを一蹴しやがった。 更にその回転を利用しての頭を支柱にブレイクダンスを決める荒技を披露。 何かやけに張り切ってんな。
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