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「私もちゃんとアルコール度数を調節したんですが」
ソムリエはホットワインの瓶を手にぶつくさと呟きながら、開発室に帰って行った。
彼はドランク・バーでは酔客と戦う為のガジェット・酒を開発する科学者で、
俺はそのガジェットの力を利用して酔客退治をするこの店のバウンサー。
此処ではヨッパライダー・呑と呼ばれている。
勿論、変身モーションはお客に見られてはいけない(股か…いや腰から酒をついでいる所なぞ見られたくないが…)
「もしもし、こちら酔客ホイホイ…厭、ドランク・バーですが。一名様此方にご予約で御座いますね」
マスターがどこからか掛かって来た予約の電話に対応した。
「一名ご来店なんですかぁ」
看板娘がマスターに問う。
「はい。今夜の開店と共にお見えになられるそうです。ここは丁重に丁重に接客しなければ。ねえ呑太郎さん」
「やった! 酩酊スウィッチオンだね呑ちゃん」
軽いノリで俺のキャッチフレーズを盗んだ看板娘に舌打ちをしながらも、
「そうだな。お・も・て・な・死! しないとな」
両手をボキボキと鳴らす。
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