第1章

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 「やれやれだ。お前はまだそんな古臭い事を言っているのか?」  俺達の会話に割って入る様に、店内にスーツの男が入って来た。  「次五朗様…」  看板娘は、次五朗が入店するや否や途端に目を輝かせた。  「営業妨害しに来たのか?」 ヨッパライダー・ジゴロとして俺達呑とは対照的に単独で行動する次五朗はそのクールな立ち回りと胡散臭い紳士的な態度で、子供とお母様に人気が高いんだよなぁ。 ライダー時は子供。 ノーマル時は母親。  「そんな野暮ったい事はしないさ。今宵この店に潰し屋が来ると聞いてね」  次五朗は店のカウンターに腰を掛け「cool bourbonで」と好物をマスターに注文した。  「先程予約が入ったんでな。俺がチョイナチョイナで片付けてやるよ」  「お前の荒削りな戦い方でか?」  次五朗はマスターが用意したクールバーボンをクイッと口に含んでふっと笑った。 俺にはクールバーボンなんてお高く止まった酒は飲めないとバカにしやがって……。  「何だと? じゃあ勝負だ」  「良いだろう。ウォーミングアップと洒落込むか」
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