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ベンチに戻ると泣いている者がほとんどだった。
それはそうだ。県大会決勝、勝てば全国大会に行けたのだから。
カズキを見ると、手に握りこぶしをつくって泣いていた。
だけど、なぜか俺は涙が出なかった。
試合会場から出てバスに向かう途中、天蘭中学のキャプテン神丈荘司が歩いているのを見つけた。
カ「彼が、全国の舞台で戦うのか...」
カズキがちょっと悔しそうに言った。
パ「強かった。あいつに投げた球、全部打たれた。」
俺は決心した。こっちに気づいていない神丈に向かってデカイ声で言った。
パ「お前を倒すのは絶対俺だ!それが十年先でも二十年先でも!だから俺以外のやつに絶対に負けるな!」
神丈はそれに気づいたのかしばらく俺の顔を見て言った。
神「僕を倒すつもりなら、もっと強くなってみてよ」
そう言い残して神丈は自分のチームのバスに乗っていった。
言い終わったあと、涙が溢れ出てきた。
そして知った、自分が悔し泣きしているのだと。
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