~第八章 帰還 ~

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ここは、魔界。 この星で太陽から1番遠い場所。 日の光は届くが、人間界や妖精界のような輝きはない。 夜の闇に包まれている方が長いのだ。 魔界でしか見られない植物や動物もいる。 毎日、薄暗かった。 長年に渡る、魔王・ヴィシオスの独裁政治が続き、自然と人々の心は暗く沈み、荒んでいく。 もう、誰も逆らおうとは思わなかった。 誰も、その魔力に打ち勝つことはできないと諦めていた。 魔界に住む人々は、魔王の配下として置かれることを望んだ。 そうすれば、少しは裕福な生活ができると思っていたからだ。 しかし、現実は甘くなかった。 ヴィシオスのもとで働く者の家族の一人は牢獄に捕えられ、裏切るような行為をすれば、共に殺されてしまうのだ。 タクルとオブスも、そんな悲劇を目の当たりにした魔族だった。
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