女優

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 ずっと誰にも言えずにいたあんな事やこんな事が涙と一緒に後から後からこぼれてきた。  みんながみんなイヤらしい世界を垣間見ている訳ではない。  それを知っているだけに悔しく思った。  声のかからない女優の卵にはどんなに稽古をしてみても、どんなに自分の存在をアピールしてみても、華やかで輝かしい世界からは遠ざかっていく。  それが切なくて悲しくて・・・。 「そんな目に合っているなら辞めたらいいだろう」 「イヤよ」 「何で?」 「だって悔しいじゃない?そんな目に合っているからって辞めちゃうの。だってそうでしょ?このまま辞めちゃったら、何の為にそんな目に合ったのかって考えちゃうじゃない」 「何の為・・・か。俺も時々、何の為に生きているんだろうって考える。考えるとどうしても小学生の頃、楽しかった事とか思い出して・・・」 「露出するのが一番楽しかったの!?」  日高くんはギロリと睨んだ。
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