女優

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「言いにくかったのかも。だって一条、そういうムードにならないタイプだったし」 「そういうムードって何よ?そういうムードって」  クラスでは浮いた存在で、空気なんて全く読めない。  そんな日高くんにムードの云々を持ち出されては何とも言えない気持ちになった。 「プッ!そういう所、全然変わらないや」  日高くんはゲラゲラ笑うと涙をみせた。  まぁ、いいっか。  初めて日高くんという人物を少しだけ理解したような気もする。 「ところでこのファイルなんだけど・・・」  私は日高くんがクローゼットから出したファイルを手にした。
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