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アゥムは口をつぐんだままであったが、髪に隠れかけたその目は限界まで見開かれている。
「それに俺らとそんなに歳変わらなかったんだな」
「そうだな。……リュース、今いくつだ?」
「……十六歳だよ」
話の流れが変化したことに安堵した。リューティスは誰が何と言おうとも男である。いくら男らしからぬ容姿をしていると思われても、中身は一応男だ。美人といわれても全く嬉しくない。
「ストラの二つ歳上だな。そういえば聞き忘れていたが、ランクは?」
たしかにシルウィに自分のランクを教えた記憶はない。リューティスは“ボックス”からギルドカードをとりだし、シルウィに手渡した。ランクを口にしたところで冗談ととられる可能性があったからである。
「…………え、ちょっと待て何で高ランクがこんな依頼受けてるんだ!?」
ギルドカードに目を落とした瞬間、しばらく硬直したシルウィは、数秒の間をあけて目を剥いて叫んだ。
顔を見合わせた少年たちは、シルウィが手にしたままのリューティスのギルドカード覗きこみ、ぱかりと口をあけて固まった。
「……南に行きたくて」
「このランクなら一人で移動した方がよっぽど早くて安全だろっ?」
「一人旅より誰かと一緒の方が楽しいから……」
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