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確かに二人の動きにはまだ拙さがある。しかし、まだ十代前半の子供にしては動きがいい。──ただ。
「……惜しいですね」
我流、なのだろうか。動きに無駄がある。身体の使い方は上手いのだが、勿体ない。
リューティスはおもむろに立ち上がって二人に歩み寄った。二人はこちらに気がついて手を止めた。
「……ストラ」
「っえ、俺!?」
彼の口から飛び出した驚きの声に首をかしげる。
「え、だ、だってリュース……さんは剣士じゃないの?」
声をかけるなら同じ剣士であるツェンであろうと彼は推測をしていたらしい。
「……僕はツェンとは使用している剣の形状がまったく異なりますので…………」
リューティスの扱う剣は刀と呼ばれる片刃の剣だ。刀身はやや反っており、直刀でもない。
「……そうなの?」
ストラはツェンを見上げた。ツェンは黒いマントの隙間からちらりと見えるリューティスの刀に目を向けて、首を捻る。
「そうなのか?」
彼の反応に思わず苦笑をこぼしつつ、刀を抜いて二人に見せた。
「刀といいます。……ツェンの使用している剣は両刃ですが、この剣は片刃です。ご覧になっておわかりになったかと思いますが、全体的に反っています」
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