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ツェンは刀をじっと見つめ、呟いた。
「なんか使いづらそうだな」
リューティスからすれば両刃の剣の方が使いづらいのだが。
「……同じ剣ですが、ツェンと僕の武器は同じではありません」
「そっか……。じゃあ俺に何の用?」
リューティスはマントを脱いで“ボックス”に仕舞うと、腰からさげていた刀も仕舞った。
「……手合わせを」
「お、俺と?」
「はい」
夕食の準備をしている皆の視線がこちらに集まっているのを感じる。
「お、俺じゃ相手にならないと思うけど……」
「構いません」
リューティスはストラとの距離を少しあけるとゆっくりと構えた。ストラは顔をこわばらせたが、すぐに構えをとる。
「お、おねがいします」
「はい、こちらこそお願い致します」
彼は一拍の間を置いて、距離を詰めてきた。ストラが繰り出してきたのは左手の突き。続いて右足による蹴り。
突きを回避し、蹴りを払う。その攻撃は軽い。
ストラはすぐに退避した。
「突きや蹴りは腰から力を入れなさい」
「へ?」
「腰を回せばそれだけ力と勢いが上乗せできます」
ストラはわずかに目を見開き、それから頷いた。
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