八章 勧誘

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   朝の日差しが射し込む。ここ数日で徐々に気温が上がりつつあるが、早朝の涼しい風は相変わらずであった。  しかしその風に混じりつつある柔らかな春の香り。春を感じさせる甘い香りである。  朝の鍛練を終えたリューティスは宿の食堂で朝食を取り、ギルド“黒龍の翼”へと足を運んだ。  昨夜、酔っぱらってリューティスが送り届けたのはレイガンだけではなかった。その隣にいたヤンもまた酷く酔い、前後不覚になっていたのである。  仕方なく女性であるヤンを担いで神殿孤児院に送り届けてから、レイガンを背負って宿まで連れていった。レイガンを肩に担がなかったのは、肩幅が広い彼を担ぐのは難しかったからである。  翌日に“黒龍の翼”で待っている旨を紙切れにしたため、彼の部屋の机の上に置いて帰った。彼が書き置きに気がついていれば“黒龍の翼”に足を運んでいるはずである。  彼とは共に依頼をこなすのである。ギルドにパーティー申請を提出しておくべきだ。パーティーを組んでいれば面倒な勧誘も多少は減るだろう。  パーティーを組むと利点がいくつかある。ギルドランクを上げるには依頼をこなしてきたという実績も必要になる。  ただし、これには例外が存在しており、犯罪歴のなく素行に問題がない者をSSランク以上のランクの持ち主が推薦をし、実技および筆記試験に合格した場合、その者は実績に関係なくランクを上げることができる。  推薦をされる者など滅多にいないため、多くの者は実績を積み重ねてAランク以上なら試験を受け、ようやくランクがあがるのだ。  パーティーを組むとパーティー全体の実績により評価が下される。無論、人数的な問題を加味し、全体を人数分で割った実績が一人あたりの実績となるのだが。 .
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