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「……とはいえ、俺もそれには賛成だな。しつこそうだ」
ぼそりと小さく呟いた彼に苦笑を漏らす。リューティスは彼女と遭遇する前に逃げているためあれから顔を会わせることもないが、会ってしまったらまた勧誘を受けるだろう。
依頼を受けるという彼とは別れ、ギルド内にある酒場へと足を向ける。朝から酒を飲むつもりはないが、待ち合わせならばここにいた方が時間を潰せるだろう。
紅茶を注文し、“ボックス”から取り出した本を開いた。未読の本を一冊、二冊と読み終え三冊目の半ばに突入した時、レイガンがようやく姿を現した。魔力と気配で彼の接近を感知し、顔をあげて本を閉じる。
「ここにいたのか。すまん、待たせた」
「いえ」
立ち上がりかけたリューティスであったが、レイガンに制されて座り直した。彼はその隣に腰を下ろす。
「まずはできればパーティーを組んでほしいんだけどな……」
「はい」
「……いいのか?」
「組まなければ不公平ですし」
そもそもリューティスはランクを上げることに執着しておらず、むしろ目立つのを避けたいがためにこれ以上上げたくない。
彼が主に盾を使いリューティスを庇う役目を負うのであれば、主に敵を倒すのは自分である。
そこでふと思う。リューティスは連係が苦手である。彼と協力しあってうまく魔物を討伐できるだろうか。
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