十一章 強さと弱さ

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   一人食堂にたどり着いたリューティスは空いている席に腰を下ろし、やって来た給仕に三人分の食事を注文した。ただし、全て脂っこい品は避け、肉類は鳥型魔物の脂身の少ない部位のみにし、豆類の入っていない料理にした。  昼食を取れたといっても、その量は少なかったベイン。おそらくレイガンがあえて少ない量の食事を取らせたのだろうが、消化の悪い脂の乗った肉や料理の仕方によってはあまり消化のよくない豆類は念のため避けるべきである。  料理が運ばれてきてからしばらくして、階上から二人が降りてきた。 「待たせた……って注文してくれてたのか」 「うん。……ベインでも大丈夫そうなものにしておいたから」  レイガンはリューティスの隣に腰を下ろし、彼を挟む形でその隣にベインが座る。 「ありがとな。……ベイン、遠慮なく食え」 「え、でもオレ、お金持ってない。……流れでこの服着ちゃったけどこれも……」  ベインはリューティスのお下がりの服を摘まんだ。 「気にすんな。出世払いしてくれりゃいい」 「しゅっせばらい……?」 「働いて金稼げるようになったら返してくれりゃあいいってこった。今は気にせず食え」  ベインは目の前に並ぶ料理に目を向けた。彼の腹が呻き声をあげる。 「いいから食え。気にせず食え。このにーちゃん俺より稼ぎあっから」 「え、レイおじさんより稼いでるの?」  丸くなった目がリューティスに移される。素直に答えてもいいのかとレイガンをちらりと見るが、彼は既に料理に手をつけていた。 .
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