十三章 老婆の微笑み

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  「……状況を説明してくれ」  どこかあきれ混じりの視線を向けられて首をかしげた。 「不審者が魔法を発動させようとしましたので結界を張って取り押さえました」 「不審者?」  レイガンが蔦に巻かれたそれをちらりと見る。 「マルフェさんを尾行していた者です」 「……まて、尾行だと?」  丁度様子を窺いに顔を覗かせたマルフェを振り返ったレイガンは声を荒らげた。 「何でつけられてることを言わんかった!?」 「あら? つけられていたの?」  素知らぬふりなのか、はたまた本当に気がついていなかったのか。なんとなく前者な気がした。 「惚けんな! 何かあったらすぐ相談してくれといっただろ!!」  マルフェは何も言い返さず困ったような顔で笑うばかり。次第に集まり始めていた人混みの中から現れた衛兵はこの状況に困惑した顔をしたのだった。 .
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