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「援護って具体的に」
「火属性付加魔法を、水属性や氷属性以外の武器全てにかけます。拘束魔法で魔物の動きを封じ、必要によって防御魔法と治癒魔法を使用します」
質問をした男が目を見開いた。常に刀を下げているリューティスが魔法師として討伐に参加をすることを表明したからであろうか。
「もし手足を落とした場合はすぐに周囲のどなたかが拾ってください。状態があまりにも悪くなければ繋ぎます」
森百足の牙は鋭く、捉えられれば手足は難なく切断される。鋼鉄製の鎧も貫き、骨すらも容易く噛み砕くのだ。
だからこそリューティスは堂々と繋ぐといったのだ。手足の欠損は冒険者にとって生きる糧を失うのと等しい。魔法師とて手がなければ魔法の制御が困難になり、足がなければ移動に労することになる。
治癒魔法を使えることでナナリアリーとの問題を起こしてしまったが、ここで躊躇はしない。
驚愕の表情で息を飲んだ冒険者たちから目をそらし、小さく溜め息を吐き出す。
「……解毒剤もあります。もしお持ちでない方がいらっしゃればおっしゃってください」
森百足には毒がある。麻痺毒であり手足が噛まれた程度ではすぐに解毒すれば死に至ることはない。ただし、心臓や脳に近い場所を噛まれた場合、即死する可能性もある。
「今回はとにかく数が多い。ダンゴムシは後回しにして先にムカデを殺るぞ」
リューティスが口を閉じたところで、レイガンが話し始める。
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