十六章 討伐せよ

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   混乱する魔物を見下ろし考える。数減らしをするべきか否か。  街を出る前、リューティスはレイガンに指示を仰いだ。すなわち、到着してからすべきことを彼に訊ねたのだ。  当然のことながらまず始めにすべきなのは村の安全の確保である。無論、レイガンもそう言った。では次にすべきは何か。  彼はできるなら、と言いおいてから、数を減らしといてくれ、とリューティスに頼んできた。できるならという言葉が能力的に可能か不可能かではなく、しても問題ないならばという意味であることはすぐにわかった。  数減らしをすることには何も問題ない。減らしすぎなければいいだけのことである。ただし、その加減がよくわからないのだが。 「……とりあえず縛っておきましょうか」  甲冑団子虫はさておき森百足に動き回られるのは避けたい。大きい個体は体長五メートル近くになる森百足。のしかかられれば少なくとも骨折をすることになる。やつらの動きが封じられれば多少は討伐も楽になるだろう。 「森の精は我に従う。太陽と雨の恵みで育まれた深緑の蔓よ、我が敵を拘束せよ。“捕蔓”」  ──植物属性上級魔法“捕蔓”。  少なくとも視覚でとらえられる範囲の森百足は拘束してしまおうと、魔法を詠唱する。  四方八方から延びてきた蔓が、森百足の何本もの足を絡めとる。一本に絡みついただけではそれが抜けてしまえば終わりだ。  金属を引っ掻くような声をあげて蔓から逃れようとする森百足。しかし次々と何本もの蔓に絡み付かれ、戦意を失ってついには脱力した。 .
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