十六章 討伐せよ

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   甲冑団子虫が嫌う臭いを放つ除虫剤が開発されたのはリューティスが産まれるより数十年も前のことだが、群れを成した甲冑団子虫にその除虫剤は効かない。 一度に大量にまくと人にも害を及ぼすため、単純に量を増やすのは危険なのだ。  どこでも採集できるような材料で魔法を使わずに作られる除虫剤であるため、どこの村にでも大抵は置いている。しかし、八十匹程度の群れだ。除虫剤は効かない。  大群を追い払える除虫剤が作られればどれほどの村が助かるだろうか。甲冑団子虫自体は珍しい魔物ではないが、大きな群れを作ることは滅多にない。だからこそ群れを近づけない除虫剤を作ろうと思う者はおらず、ゆえに討伐をして数を減らすしかないのだ。  レイガンたち冒険者を乗せた馬車が勢いよく走ってくる様子が木々の隙間から見えた。彼らに手をかすべく、リューティスは地面へと降り立ったのだった。 .
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