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「……魔法書が見たいかな」
せっかく西の国まで来たのなら、魔法書の専門店に足を運びたい。ここは首都からすこしばかり離れているが、中央の国との貿易で栄えている街である。西の国の主要な貿易品である魔法書も多くおいてあるはずだ。
「わかった。ほんと好きだなぁ、本」
呆れまじりの声に小さく笑い、リューティスは周囲を見回した。
本屋らしき店は所々にあり、どこにはいるか迷ってしまうほどだ。そんなリューティスにレイガンはあっさりと告げる。
「まあ先宿とっといて、片っ端から見て回るか」
「……いいの?」
「食糧の買い足しが優先だがな」
思わず聞き返すが、遠慮はいらんとばかりに笑われ、髪を掻き回された。
歩き出した彼の後を追って隣に並ぶと、レイガンは苦笑してリューティスの髪を直す。
「少しは気にしろよ」
「え、……うん、わかった」
見た目を気にするのは想いの人の前くらいである。普段はあまり頓着しないのだが、そういえば学園に通っていた頃、見目を気にしない者の方が少数だった気がする。そういうものなのだろうか。
しかし、冒険者である以上、気にしていても仕方のない状況というのが多々ある。たとえば泥にまみれてまで周囲の環境に溶け込まなければならない時や、汚れを気にしていたら戦えない時など、冒険者は森や草原を駆け回る事が多く、汚れが少ないのは中級魔法である清め魔法を使用しても魔力の枯渇の心配のないくらいの魔力を持つ魔法師くらいだ。
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