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リューティスの衣服の大半がこれから作られているのは、ただ単にリューティスの魔力に耐えられる素材が少ないせいだ。
「……金あんな」
「買え与えられたんだよ」
レイガンは納得した様子だった。しかし、彼はリューティスが産みの親から買え与えられたのだと思っているだろうが、実際には育ての親からの贈り物である。
とはいえ訂正する必要もないためわざわざ説明することはしない。
「黒曜蜘蛛絹製の服ってなるとたしかにこのあたりじゃなかなか扱ってねぇだろうな。しゃあね、服は諦めて本屋巡りすっか」
黒曜蜘蛛の絹から作られた服は、着古されたあと下着や手巾へと作り直される。貴族ですら古着屋に売り払うのも勿体ないと考える物なのだ。
止まっていた足を動かし始めたレイガンの隣に並び、魔法書の専門店を探す。
「あそこ、入っていい?」
「許可なんかいらねぇよ」
笑うレイガンのあとに続いて、見つけた魔法書専門店に足を踏み入れた。
魔法書を専門に扱う店には、一般的に魔法発動用媒体としての杖や簡易魔力測定器なども置かれている。この店も例外ではなく、背の高い棚一面に並べられた魔法書の他に、大小様々な杖や指輪型の魔法発動用媒体が置かれていた。
棚の本は見覚えのある物もあれば見たことのないものもある。その中によく覚えのある本を見つけて目をそらした。
「いらっしゃい。何をお探しで?」
店の入り口近くに置かれていた椅子に座っていた、店主らしき男が立ち上がって歩み寄ってくる。三十歳くらいの男だ。
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