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「最近出版された本を探しに参りました。魔方陣魔法に関する本はどちらにありますか?」
「……ふん、若造の癖に一丁前な」
レイガンを見ていた店主は口を開いたリューティスを鼻で笑った。フードを被っていようとも隙間から見える首や口元で若いことは誤魔化せない。
「若造であることは否定しませんが、それとこれとは話が別でしょう」
不愉快そうに顔を歪めたレイガンを制するべく言い返す。騒ぎを起こす気はない。
「若造に売る本はない。帰れ」
「わかりました。では」
売ってもらえないのなら他の店に行けばいい。ただレイガンの静かな怒りを感じて、出入り口で男の方を振り返った。
「僕を若造とおっしゃるのに、僕の本は置いていらっしゃるのですね。若造の本を置きたくないのでしたら、『メイリー』の本はすべてご撤去ください」
さて、彼はこれを虚言と捉えるだろうか。レイガンと共に店から出ると店の中で何やら大きな物音がしたが、気にせず歩き出す。
「メイリーってなんだ?」
物音に顔をしかめたレイガンに訊ねられて小さく笑って誤魔化した。
その後入った店では、購入を断られることはなかった。リューティスが本を探している間、レイガンがその愚痴を店主に溢しているのが聞こえてきた。
「あの野郎、俺の相棒を若造っていいやがって」
「あぁ、あそこの店主は評判が悪いからねぇ……。実力者と見ると媚び売ってくるんだとさ」
「へぇ、つまりあの野郎にとってAAランクは取るに足りない相手だっつぅことか」
「っAA!? え、まさかあの子が……」
「そうだあれでもあいつ、AAランクの魔法師だ。それを取るに足りない相手するっつうこたぁ、よっぽど店に自信があんだな」
「すごい嫌味ねぇ。そんなに態度悪かったのね」
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