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「金あんなぁ……」
店を出てから呟いたレイガンに小さく笑う。
「旅に出る前の貯金の余りだよ」
「余り? 何かに使ったのか?」
歩き出した彼の隣を歩きながら、次の店を探すべく周囲を見回す。
「戦争の復旧のための寄付をしたんだよ。使い道がなかったから」
「本買ってりゃなくなってたんじゃねぇのか?」
本棚に本がずらりと並んでいる──ように見える外壁の店を見つけて足を止めた。実に西の国らしい建物である。
「本はほとんどおくられてきたから」
「服と同じか」
「ううん、服は育ての親が買ってくれて、本はいろんな人がおくってきてくれたんだ。……この店、入っていい?」
彼の方を振り返ると、その眉間に深いしわができていた。どうかしたのかと首を傾げると、レイガンは小さくうなり声を漏らし首を振る。
「……答えれんなら答えんくていいしあえて聞かずにリュースが自分から話してくれんの待ってたんだが──」
何か不快だったのだろうか。微かな不安を感じながら首を傾げた。
「育ての親ってなんだ」
リューティスの親を彼は知っている。それはリューティスの親が有名だからだ。そして親がいるならなぜ育ての親がいるのだと不思議に思うのは当然だろう。
「ベインから聞いた。親と数ヵ月前に再会したってな。何かあったのか」
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